若手医師のための勉強・留学情報ブログ〜プライマリケアへの道〜

2016年卒。プライマリケア医を目指して、現在診療所で働いています。Family Medicineでの臨床米国留学を目指しています。若手医師、医学生さん向けに日々の勉強についてシェアしていきたいと思います。 なお、ここで作成した資料につきまして、間違いやご意見などございましたらご指摘頂けたら嬉しいです。記載内容を二次利用などする際は私の方では責任を負いかねますので、よろしくお願い致します。

USMLE STEP3〜概論〜

USMLE STEP3 無事に合格しました!!

本来レジデンシー開始1年後以降に受ける試験ですが、私たちIMGは働く前でも受けることができます。さらにマッチングに有利になるらしい(働いてるときにSTEP 3を受ける必要がない、働く前からレジデンシー1年目終了時の試験にすでに合格している、アメリカの医学生はSTEP3を持っていないので差別化になるなどの理由)ので、受けてしまいました。

 

アメリカ人レジデントにとってはめっちゃ簡単な試験らしいです。みんな3週間くらいの準備期間で何と96%が合格、IMGの合格率は80%程度のようです。

かんたんなようなイメージを持つかと思うのですが、実はこれがかなり難しい試験です。内科、外科、産婦人科、小児科、精神科、医療倫理、文献の批判的吟味問題、予後因子の問題など、実臨床に即した問題が出ます。例えば各疾患の最大リスク因子、パッと出てくるでしょうか。高血圧症なら体重なのか塩分なのかタバコなのか、各種悪性腫瘍ならタバコなのかアルコールなのか。絶妙に知らないとこをつつかれます。産婦人科なら妊娠週数ごとに行うべき検査が列挙できる必要があります。精神科なら各精神疾患の診断基準、症状持続期間、予後因子などの把握も必要です。つまり全分野網羅的に特に治療、予後に関しての細かい知識が聞かれます。日本だったら専門医試験レベルの問題も含まれているのではないでしょうか。

私は合格率の数字を最初は鵜呑みにして勉強していたところ、直前1ヶ月で相当追い込まれることになりました・・・。油断は禁物です・・・

 

試験の構成は2日間、1日目 7時間 2日目 9時間です。

STEP3を受ける段階になれば、皆さん慣れっこかと思いきや、本番は本当にきついです。1日で終わってくれたら大したことはないのですが、この2日という期間が問題です。1日目、2日目それぞれ予約を取るのですが、試験日程は2日連続で予約することをオススメします。日にちが空いてしまうとその期間とんでもないモヤモヤ感に襲われると思います。私は2日連続に受けましたが、それでも翌日までの時間が憂鬱で仕方なかったです。

 

試験の構成はおなじみのMCQとCCS(Computer-based Case Simulations)という新形式の問題があり、このCCSが試験の明暗をわけます。

1日目

おなじみのMCQです。1ブロック60分で38-40問×6ブロックです。時間は結構ギリギリ。なぜかSTEP1みたいな問題が多数出ます。(Microbiology, mechanism of medication,  先天性疾患の遺伝形式がやたら出ます。)

また、臨床試験(介入試験が多い)の論文を読んで、それを実患者に当てはめる問題が10%弱出ます。かなりの割合です!! 私は文献の批判的吟味はあまり自信がない方ですが、CIの解釈、バイアスの理解ができれば大体いけると思います。

 

2日目

MCQの続き。1ブロック45分で30問×6ブロック+CCS 13ケース

1日目より難しく、より実践的知識を問われます。時間は割と余りました。

 

※ CCSについて

CCSは患者模擬診療ソフトウェアを使った試験です。ケースが始まったら、必要ならモニター装着、身体診察、必要な検査入力、治療薬選択を行います。

概要についてはUSMLEのウェブサイトで動画がありますので、まずはこれを見ましょう。

https://www.usmle.org/practice-materials/#tab_step3_ccs

USMLE公式の本番と同様のソフトウェアがありますが、設定が鬼めんどくさいです。

Windowsでしか動かず、各種パソコン設定を変える(言語を英語設定にしてから・・・)必要があります。一応やり方はウェブサイトに書いてありますが、わかりにくいです。私は3時間ほどパソコンと格闘して諦めかけた時になぜか急に使えるようになりました。6ケースのシミュレーションがあり、本番そっくりです。

ケースの具体例ですが、例えば意識障害なら、まずはSpO2測定、酸素投与、ルート確保、モニター装着(林先生の「さるも」です)、次に身体診察(GA, HEENT, Neuro, Chest, Abd, Limb)をして、残りの「ちょうしんき」をやりつつCBC, BMP, PT/PTT/INR, ABG, U/Aなど基本オーダーを入れつつDo DONT+CT、脳出血ならICUに移動してから禁食にして 尿測してA lineいれてニカルジピンを流しながら血圧管理、脳外科コンサルト、必要なら気管挿管も・・・こんな感じで続きます。林先生の「さるもちょうしんき」がこんなところでも活躍しますし、初期救急対応やケースシミュレーションでの経験が物を言います。重要ケースとしては、ACSDKA、急性腹症、気胸、子宮外妊娠などがあります。全分野満遍なく出ます。

非常に大事なことがあります。それは、CCSには足切りがあるということですつまりMCQでどれだけ稼いでもCCSが悪すぎると不合格になるようです。国試の必修落ちみたいな感じです。私はこのCCS足切りの事実を1ヶ月前に知り、慌ててCCS対策を本格的にやりました。何とか1ヶ月で間に合いましたが、今思うと本当にヒヤヒヤです(^^;;

 

 

以下、そのほかの概要です。

①申し込み FSMBのウェブサイト、申し込みの過程でアメリカの住所が必要です。

知人の方に借りましょう。

https://portal.fsmb.org/MyFsmb/?_ga=2.236629250.2065915126.1553836495-1600049924.1553836495

試験の申し込みはおなじみのPrometricから行います。以前は試験会場にOpen office hourを直談判する必要があったようですが、STEP1や2CKの時と同じ流れで普通に申し込みできました。

なお、申し込みの過程で書類をNotarizeする必要があります。つまり、公の場で偽りなく、受験者本人が記入、申し込みをしたという証明をする必要があります。「アメリカ大使館で書類をNotarize」というネット情報が多数出回っていますが、わざわざ大使館に行かなくても申し込みできます。私は現在北海道の東の方、道東に住んでいますが、そこの公証役場で普通にできました。田舎の公証役場でもできたので、全国どこでもいけると思います。近くの公証役場で申し込みしましょう!!書類を公証人の前でサイン、作成したらそれをEMSで郵便局からFSMBに送ります。

www.koshonin.gr.jp

 

②受験地 アメリカ領土ならどこでも受けれます。グアムは時差1時間かつ成田から3時間なのでオススメです。観光もできます🇬🇺

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グアムの試験会場、グアム銀行です。

このグアム銀行の3階に皆さんおなじみのPrometricがあります。試験の流れはSTEP1, 2CKと同じです。

 

③準備期間 6ヶ月

 

以上が概要になります。長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。次回は勉強法、教材編です。