若手医師のための勉強・留学情報ブログ〜プライマリケアへの道〜

2016年卒。プライマリケア医を目指して、現在診療所で働いています。Family Medicineでの臨床米国留学を目指しています。若手医師、医学生さん向けに日々の勉強についてシェアしていきたいと思います。 なお、ここで作成した資料につきまして、間違いやご意見などございましたらご指摘頂けたら嬉しいです。記載内容を二次利用などする際は私の方では責任を負いかねますので、よろしくお願い致します。

USMLE STEP2 CS〜ICE+本番の流れ〜

STEP 3の受験で少し間が空いてしまいました。CSでSEPの次に大事なICE、つまり何を問診するか、何をカルテに書くかです。本番の流れもあわせて記載します。

 

Introduction 

クリップボード、メモ用紙、ペンを手に持ちながら部屋の前で待ちます。患者概要(年齢、性別、主訴、バイタルなど)の書いた紙はドアのボックスの様なものに隠れており、合図があったらその箱の前面を持ち上げて紙をみます。ネイティブの方は一瞬で部屋に入りますが、無視して自分のペースで行きましょう。メモ紙の使い方をここでお伝えします。私のメモ用紙の使い方です。

 

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メモ用紙一例

 

乱筆ですみません。以下作り方です。

① 紙に大きな十字線を入れて4分割にする、上から少し幅を取って横線を入れて、計6分割にする

②左上のブロックに、患者情報を書き込む、かんたんでOKです

 50yo M 患者名、主訴 

③右上のブロックに3つ鑑別を記載、問診項目の備忘録として使用

④左真ん中ブロックにOPQRSTAAA(その他何でもOKです)など現病歴のゴロを記入

⑤左下ブロックに臓器別症状のリストの頭文字を書き加える

 Chest painなら、胸部症状、呼吸器症状リストなど。頭文字の横に症状の有無を

 問診しながら◯✖️でどんどん書き込む

⑥左下ブロックに、ROS症状を聞く、症状に関係ないことだけどHead to Toeのイメージで念のためいくつか記載、一応含めるものの例としてはWeight change, Appetite change, Urinary symptom, bowel movement changes, mood changes, Occupationなど生活背景的なものです。ここも自分なりの頭文字を書いておきます。

⑦右真ん中ブロックにPMH, Allergy, Medication, Hospitalization, OB/GYN, Family history, Social history, Sexual historyなどを頭文字だけ記載、問診に応じて詳しく記載

右下ブロックは余白スペースです

 

この紙の使い方をマスターすると、左上から左下、右上から右下に行くだけで問診の流れを綺麗に再現できるだけでなく、最強の備忘録として自分を助けてくれます。

何を聞くかどうかは置いておいて、紙の使い方としては我ながらかなり使いやすいと感じています。

 

② Opening

以上のメモが身作成を終えたら、ドアを2回ノック後、May I come in ? でYesと聞こえたら入室します(言われないケースもあると聞いたことがありますが、私は12ケースともお返事をもらえました)

常に愛想よく振舞いましょう。入ったら基本は笑顔で話します。

Hello, Are you Mr. 〜? OK, Nice to meet you Mr 〜?, My name is 〜. I'm going to be your doctor today. I'll ask you some questions and do some physical exam. Is it OK?

May I have a seat here?  What has brought you here today?

言い回しは自分の慣れたものでOKですが、こんな感じで進めていきます。

※カプランではやたらドレープがどうこう言ってきますが、無視してOKです。理由はドレープは最初から患者さんの膝にかかっているか、そもそも存在しないかのどちらかなのでHere's a drape for youなんて言うタイミングがないからです。業界大手なのに試験情報のアップデートがなぜされていないのか、本当に謎です。

 

history taking

いよいよ問診スタートです。先ほど書いた問診用紙をもとに

HPI→Associated symtoms→ROS→Social questions→Summary→Physical exam→Closureへと続いていきます。Social quesitonsまでは①で書いたのでSummaryからいきます。一通り問診を終えたところで、いったんまとめます。

Let me summarize your history, you have come here for chest pain, it started 1hr ago, it is getting worse. It is constant pain and associated with nausea, vomiting and shortness of breath. Is that correct? 

こんな感じでワンクッションをおきます。これは自分の聞いたことが正しいかどうか、フィジカルやカルテに移行する前に自分の問診事項を再認識するブレインストーミングの役割も果たしています。①で書いたメモ紙を左上から左下に読むだけでスラスラ言えます。

Physical examは人それぞれで良いと思いますが、私はルーチンで胸腹部以外のHead to toeを視診、触診で軽くやった後に、主訴に関係する部位(胸腹部など)を確認するようにしていました。これをやると一通り網羅的にできるようになります。全部の主訴で胸腹部はいらないと思います。右手首の痛みで来た人に胸部や腹部診察をしている暇はありません。

Closureはいつも同じやり方でいきましょう。私はこんな感じでやってました。

Now Mr〜. Thank you for answering my questions. Let me tell you my impression.

Your 〜 is likely due to  〜, which means 〜(平易な英語で疾患名を説明).

However I have to rule out more severe conditions such as 〜(must r/o, 重篤な疾患)

So I will order blood test, image test, 〜 if necessary

Is that clear ?, Any questions so far ?

OK. I'll get ready for the tests and see you soon later, good bye. Good to see you. 

 

④カルテ

まず書き方の前に、普段からUS配列のキーボードで練習しておきましょう。タイピングのスピードは本当に重要です。僕は最低 50 words/minくらいでした。タイピング練習サイトがたくさんネット上に転がってるのでお好みのもので練習しましょう。

私はこんなのを使ってました。

https://www.typing.com/student/lessons

一例として私のカルテの書き方(簡略版)です。

現病歴

HPI: A 45 yo M c/o chest pain presented to the clinic. It started 1hr ago, constant, sharp pain, 10/10 severity. It is associated with nausea/vomiting/shortness of breath.

No palpitation/cough/edema. 

ROS: No vision change/weight changes/appetite changes

PMH: 

Alls:

Meds:

FH:

OB/GYN:

SH:

 

身体診察

VS:(ここはカルテの別ページにバイタルサインが羅列してあるのでコピペします)

GA: No acute distress

HEENT: mouth no swelling/exudates/redness

Chest: Heart sound: S1S2 normal, no m/r/g, RRR

Lung; CTAB, no wheezes/crackles

Limb: No rash/edema/redness

 

鑑別診断(最大3つまでで良いです)

診断名を書きます。そして根拠所見を今までのカルテからコピペします。体裁にこだわっている時間はないので、ひたすらコピペです。

 

必要検査

CBC

BMP

U/A

ABG

SpO2

Heart U/S

CXR

 

こんな感じです。使える略語はUSMLEのウェブサイトに載ってます。カルテではそこに載っている略語だけ使いましょう。

https://www.usmle.org/pdfs/step-2-cs/cs-info-manual.pdf このPDFはUSMLEが発行している公式のものです。略語以外にも重要な情報がたくさん書いてあるので、受験する方はぜひ読んでみてください。

 

以上が本番の試験の流れ及びICEになります。

具体的に自分なりの問診事項、ゴロセットなどをどのように作るかは次回また記載します。わからないことなどございましたら、遠慮なく連絡ください!!